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コラム
クッチーのヒトリゴト
ボリューム31
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サンセットマティーニ

 2008年7月8日 17:30。
 見渡す限りの田園風景、陽が沈みかけたころ、麦藁帽子をかぶり、今だ農作業に勤しむ人の姿が見える。どこか懐かしく、そして心休まる夏の風景である。そんな中、2席だけ西向きに置かれた椅子に腰掛け、沈み行く夕日を眺めていた。
 テーブルの上には、ショートグラスに注がれたサワーソープマティーニ。メニューはこれのみ。グラスが空きかけると、隣でスタンバイしているバーテンダーがシェイカーを振り、無言で注ぎ足してくれる。

 2003年以来のアマンジオで、ホテルが用意してくれたプログラム「サンセットマニィーニ」を愉しんでいた。

 沈み行く夕日を正面に、左手にアマンジオの全景、そして右手遠くにはボロブドゥールの陰をはっきりのぞむことができる。近隣の村々と、そして遠方からかすかに流れてくるコーランの調べが、幾十にも重なり合い、幻想的なサウンドを醸し出す。
 その名の通り“サンセットを見ながらマティーニを楽しむ”わけであるが、この光景とこの雰囲気の前には、どんなにオシャレなバーでもかないっこないと心底思えてくる。
 昼間は自転車でこの辺りのあぜ道を、思う存分走った。

 途中、牛を使って田んぼを耕す農作業の光景にしばらく足を止めた。日本はいつまでこうだったのだろうか?。失われていくシーンのスピードの速さを感じ、改めて自分が身を置いている時代の流れの速さを再認識した瞬間である。

 やがて陽が沈み、キャンドルに灯りがともっていたことを認識できるようになったころ、心地よい酔いとともに平和なる闇の訪れである。

 なんとも贅沢なひと時を過ごさせていただいた。いたってシンプルなこのプログラムにこそ、アマンジオの魂、アマンリゾートの真骨頂を見たような気がした。
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